フィレンツェのドゥオーモ前。すごい数の人だかりですが、一体何が?
目の前の建物に住む人々はどうやら特等席のようですね。各部屋から人々が顔をのぞかせて見物しています。
一昨日はパスクア/復活祭/イースター。
キリストの復活を祝うお祭りです。
フィレンツェっ子に ”ブリンデッローネ”と呼ばれているスコッピオ・ディ・カッロは、爆竹や花火が仕掛けられた大きな山車です。これが花の大聖堂ドゥオーモの前で盛大に爆発するのがフィレンツェにおけるパスクアの一大イベント。900年も続く歴史ある催しなのです。
いつもはプラート門近くに置かれているこのカッロ。プラート通りの、縦に何mもある木の扉、見たことがある方もいると思います。1年に1度、このパスクワの日のみ外に出されます。大きくて重量もあるので、トラクターのような物で外に出し、それから厳選された丈夫な牛4頭に引かれてドゥオーモまで運ばれます。
10年フィレンツェにいながらまだ1度も見たことがなく、今年も特に見る気はなかったのですが、友人と朝食を食べた帰りにぶらっとドゥオーモまで行ってみました。
教会前の広場には入れず、広場を大きく取り囲む感じで柵が張り巡らされています。まだ9時なのに既に3〜4重の人垣。私もなんとなくその人垣に加わり、友人に電話。
「何時に爆発するんだっけ?」
『11時だよ』
え〜、2時間もここで待つの?
ちょっと面倒だなぁ。。。
8時15分にカッロが車庫を出発したというから、通りそうな道に行って見て帰ろうか。
悶々と考えていると、旗手隊の太鼓が聞こえてきました。
Bandierai degli Uffiziというこの旗手隊。1,75mあるという旗を振り回す旗手を筆頭に、鼓笛隊、中世の武士や婦人の装束を身にまとった人々など、約100人で構成されています。年齢も様々で、7〜75歳までの幅広い年代です。フィレンツェのイベントに欠かせないのはもちろん、イタリアの他の町や海外からも呼ばれて出掛けるそうです。私の友人も4人がこの旗手隊のメンバーです。
今日は新たにメンバーに加わったちびっ子旗手達のお披露目日でもあるそうで、可愛らしい子供達の姿も。
彼等の到着後、牛に引かれたカッロもやってきて歓声が上がります。
近くで見ると牛もカッロも大きく、なかなか迫力があります。
ドゥオーモの正面にカッロが設置され、牛達のお役目は終わり。
カッロに最後の仕上げが施されます。今年は2000個の爆竹に700の花火が用意されたそうで、それらを順に付けていきます。
カッロのてっぺんには3つの筒が。この中にはフィレンツェ、パッツィ家、ドゥオーモの旗がそれぞれの筒に収められており、爆発の最後にこれが全て開くと良い年なのだとか。
写真はこの3つの筒を今まさに設置しようとしているところです。
カッロの上部にも人がいて、それを受け止めようとしているのが見えますか?
カッロに火を点けるための導線は、ドゥオーモの中の主祭壇からカッロの上部へと渡されます。作り物の鳩がこの導線を伝って聖火を運び、カッロに火を点ける仕組みになっています。カッロに点火後、鳩が元来た道を引き返し出発点の主祭壇まで辿り着ければ、その年は豊作になるという言い伝えがあるので皆が注目します。
鳩がこの任務を最後に遂行できなかったのは1966年だそうで、確かにその年、フィレンツェに大洪水が起きました。
ドゥオーモの司祭が聖水を持って1周し、我々に掛けてくれます。
長かった2時間が過ぎ、ついに11時、ドゥオーモの中から煙が導線を伝わりカッロが点火されました。その勢いはあっという間で、あいにく私の目には作り物の鳩の姿さえ確認できませんでした。写真の中で、ドゥオーモの入り口から出ている煙の先に白い物体が見えますか?これが鳩です。このお祭りの様子を生中継していたTV番組の再放送を見たところ、どうやら鳩は無事に主祭壇に戻ったようです。
役目を終えた鳩は何処へ行くのか。ここ6年間は毎年1人の重要な人物に請われて貰われていくのだとか。今年はローマへ行くそうなので、どうやらこの人物は元フィレンツェ市長で現首相のマッテオ・レンツィ氏のようですね。
カッロから出た花火が宙に上がります。
火を噴くカッロ。煙がもくもく。大丈夫なのでしょうか。
この花火、綺麗でした。
これもすごい。近くにいる人に掛かりそうな勢い。
フィナーレが近づいています。向こう側の見物人もすごい人数。
最後に最上部の旗も3つ共開きました。
今年は天気も良く、全てがうまくいったということですね。
初めて見たブリンデッローネ。爆発の時間は10〜15分と短いのですが、近くで爆発するカッロは迫力があり見応えがあります。ドゥオーモからアルノ川へ伸びるカルツァイオーリ通りは先の方まで人で埋め尽くされていましたが、やはり近くで見たいもの。来年行こうかなとお考えの方、2時間前には行かれることをお薦めします。
↓ワンクリックで応援して下さい
人気ブログランキングへ